人は失敗を経験して成長しますが、省みる姿勢がなければ失敗から学べません。失敗を自分の事と受け止め、現実に向き合うからこそ多くのものが得られるのです。
くだらないプライドが邪魔して素直に反省できない人は、その時点で成長が止まっていると言っても過言ではありません。
成長するサイクルを作り上げるために、常に省みるクセをつけるようにしましょう。
省みる意味
失敗を振り返らない人は、必ず同じ過ちを繰り返します。省みる行為は事後検証としてのイメージが強いですが、振り返るタイミングによっては、失敗を予防する効果もあるのです。
省みる行為を繰り返していると、客観的に自分を分析できるようになるため、セルフマネジメントによる成長も期待できます。
軌道修正するため
何かしらの目標に向かって進んでいる時は、軌道から外れて修正不可能になる前に、正しい方向に向いているか確かめなければいけません。
目標までの道筋に決まりはありませんが、正しいゴールに到達するには都度の修正が必要になります。
例えば料理する際の味見も省みる行動の一つで、要所々々で出来栄えをチェックして修正するために、味の整った食事が完成するのです。
セルフチェックが行き届かなかった仕事は、どこかにちぐはぐさがあり、求めた結果が得られない場合が多いので、中身を省みて軌道を修正する必要があるのです。
自己完結型で成長を促す
仕事の良し悪しを省みる行動は、知識を増やす作用があるので、自らの力で成長するサイクルを作れるようになります。
省みる行動によって良否を判断する材料が収集され、分析する能力が身につくため、問題を解決する能力が高まります。
また知識が豊富になるため、情報同士の結びつきにより、多角的な視野が開けるようになるのです。
この行動は、知識を仕入れて理解を深めているので、正しい解答を導き出すために、テストで正解だった問題を見直すケースと似ています。
自問自答の繰り返しが自己形成を促してくれるので、自己完結型で成長し続ける基本が培われるのです。
反省しない人の特徴
世の中には反省しない人が一定数存在します。職歴が長かったり、地位が高くなったりすると、己を省みられない人の割合が高くなります。
自己満足以外の何の役にもたたない、くだらないプライドが作用して、謝ったら死ぬ病を発症しているのです。
自覚がある方は改善の余地がありますが、ほとんどの場合は無自覚なので、少々厄介な存在です。
根拠のない自信に満ちあふれている
「たぶん大丈夫」や「自分ならできる」といった感覚論で行動する自信家ほど、自らを省みない傾向にあります。
成否の予測が希望的観測に支配されており、なぜかそれが確信にすり替わってしまうので、自分の間違いに気づかないのです。
不思議な万能感を持った楽観主義者ゆえに、失敗を一過性の出来事として片付けるので反省しないのです。
成長し続ける人は反省を繰り返すので、いい意味で自信家ではありません。
反省しない人ほど自己肯定感に満ちあふれているので、根拠のない自信を頼りにギャンブル的な仕事をしがちになります。
都合が悪くなると保身に走る
自らを省みない人は、自分が関わる仕事で不都合が生じると、あれやこれやと言い訳を並べて保身に走り始めます。
自分には落ち度がないと思い込んでいるか、失敗を認めたくない気持ちが無意識に働くので、外的要因を列挙して責任転換に終始するのです。
「忙しかったから」や「突発的な・・・」と言った理由にならない言い訳をする人ほど、失敗の本質を素直に受け止められないために、反省する方向に意識が向きません。
不具合が生じた原因を究明すると、自分に火の粉が降りかかってくるとわかっているので、自分は悪くないという結論ありきで保身に走ってしまうのです。
省みるレベルは立場で異なる
当然のことながら、新入社員と社長では省みる内容もレベルも異なります。しかし、省みる行為で得られる効果は、どちらも同じと言えるでしょう。
省みる行動は、失敗から学んで己の軌道を修正し、自己成長に結び付けるために必要な行為です。まずは自分の立ち位置を自覚して、それに見合った方法を実践しましょう。
一般社員~中堅社員
このクラスの方は、担当している仕事について、現状を正しいと思い込まずに客観的な視点で見直すことから始めましょう。
前任者から教えられた内容が王道になっているので、仕事の目的と結果のズレに気づかない場合があるためです。
例えば担当者が数回代わっている仕事の場合、オリジナルの手順がアレンジされている可能性があるため、今一度内容を精査して見直さなければいけません。
教えられた内容を一度消化した上で、都度の見直しで軌道修正しましょう。そうすれば自己完結型の成長ができるようになります。
まずは着手しやすい内容からチャレンジして、成功した手法を他の業務へと横展開させてください。
役職者~経営層
このクラスの方は、第三者からの指摘が少なくなる立場なので、自ら意図的に意見を吸い上げなければいけません。
人は立場が上になるにつれて、万能感に支配されがちになります。よって、ワンマンな振る舞いを防ぐためにも、省みるきっかけづくりが必要なのです。
できるだけフラットな組織作りを目指し、率直にものを言える環境を整えて、チーム内の生きた意見を吸い上げましょう。
上手に反省できる経営層として、己の地位にあぐらをかかずに、耳が痛い忠告を受け入れる姿勢を保ちつつ、己を戒めて成長させる土壌を作らなければいけません。
省みるクセを身に付けるには
省みるクセを身に付けるには、まずはちっぽけなプライドを捨てましょう。気持ちが尊大になっていては失敗から学べません。
常にニュートラルな思考を持って知識の吸収力を高め、指摘や否定を恐れずに、成長の糧とする位の強いハートを持ちましょう。
見識を広げる
現在自分が身を置く世界の尺度だけでは、省みる効果は乏しくなります。
客観的な視野から現状をはかるものさしを持っていないので、何を改めなければいけないのかわからないからです。
例えば、すき焼きの肉が豚肉ではなく、実は牛肉がスタンダードだと社会人になってから気づくように、井の中の蛙は比較する対象を知らないのです。
他の会社や業界の情報を多く取り込み、比較できる基準さえ多くなれば、自ずと顧みる癖がつくようになります。だからこそ仕事は情報収集が基本なのです。
聞く耳を持つ
職歴が長い人ほど固定概念が強く働くために、他人の意見に耳を傾けなくなります。
知識や経験が豊富だという奢りが芽生えるために、自ら謙虚さを失わせて学ぶ姿勢から遠ざけてしまうのです。
「この業界は」とか「まだ知らないだろうけど・・・」というセリフでマウントをとる人ほど、他者からの意見を聞こうとしません。
年齢や職歴というバイアスを外し、何の得にもならない自己保身のためのプライドを捨て去るだけで、第三者からの進言をありがたく感じるようになります。
要するに「一生涯勉強」という気持ちに変わるだけで、自ずと万人からのアドバイスを聞き入れる意識に変わるので、省みる癖が身に付くのです。
まとめ
人は人生の中で多くの失敗を経験しますが、同じ失敗を繰り返すのであれば、失敗から何も学んでいない証拠です。
外的要因や多忙を失敗の理由にする人もいますが、そういった要因に対応できなかった自分の非を認めなければ、同じ失敗を繰り返すだけでしょう。
常に成長を続けている人は、己の非を潔く認めて失敗を繰り返さない対策を講じます。
併せてボーダーレスなスタンスで意見や指摘を受け入れ、豊富な知識と多角的な視野を手に入れてリスクヘッジに活用しています。
省みる行為は、社会生活だけでなく人生においても重要な要素です。
しかし、省みる意味を理解せずに反省ばかり繰り返しても無意味なので、自己成長を促すための振り返りだと意識してください。
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