普段は小難しい内容を紹介していますが、ここではちょっと毛色を変えて DIY で仕事術を紹介します。
知り合いが店をオープンするため、手伝ってほしいとの申し出を受けました。
まあどうせたいしたことは無いだろうと思って安請け合いしたものの、居抜きの店舗を見にいったら、なんともひどい有様でした。
ということで、本人の要望を聞いた上で、自分なりに改造手術してきました。これも仕事術の一つだと思うので、どういったプロセスで工事を進めたのか紹介します。
人によってやり方は違うと思いますが、参考になれば幸いです。
何をどのような目的で設置するのか確かめる
完成してからのトラブルを防ぐため、ユーザーが何を求めているか、できるだけ詳しく聞き取って、イメージのすり合わせをしましょう。
目隠し&物置スペース
カウンターの奥に、グリストラップがむき出しのまま置かれているので、あまり見た目が良くありません。
そこで、配管とグリストラップを目隠しすると同時に、洗い物や食器を置くスペースを確保するための、目隠しを設けることにしました。
間口の閉鎖
お客さんが厨房内に立ち入ることを防ぐために、ぶち抜きの間口を塞ぐ必要があります。
厨房内の防火対策
炭を使う店舗なので、火のついた炭がシンクやロッカーの下に転がり込むと、火災が発生するかもしれません。万が一のためにも、できるだけ隙間を無くしたいとのことでした。
十分な機能を発揮するための仕様を決める
ユーザーの要望に応えるのは必須ですが、それだけでは競合他社との差別化はできません。プラスαのアイデアを提案して、独自性を発揮するように努めましょう。
目隠し&物置スペース
グリストラップのメンテナンス性を考慮するとともに、収納としても活用するために、マグネットキャッチで開閉できる扉を取り付けます。
間口の閉鎖
目隠しの役目も果たしつつ、狭い厨房にできるだけ圧迫感を与えないように、パンチングボードで間口を塞ぎます。
ただし、非常時の避難を可能にするため、あまり強固な作りにはしません。また、ボードの裏面(厨房側)を有効利用するため、収納用の棚を設置します。
厨房内の防火対策
シンクやレンジ、収納ロッカーの下は靴のつま先が向かう場所なので、隙間を埋める部材はある程度の強度が必要です。
防火性を考えると、金属での目張りが有効ですが、加工のしやすさも考えると、薄手のアルミ板を設置するのが現実的です。
現場の状況から施工方法を考える
いざ取り付けようとしても、設置する場所によってはビス打ちで固定できない場合があります。そういったケースであれば、仕様や設計を変えて対処するしかありません。
でも心配はご無用です。たとえ知識が無くても、大型のホームセンターにいけば、解決に結び付くヒントが得られるし、店員さんに聞けばアドバイスをもらえます。
目隠し&物置スペース
今回の場合は壁面が木材のため、木ネジによる固定が可能です。L 型のアングルを使い、各パーツを仮組みしてから壁面に直接固定します。
間口の閉鎖
壁面が漆喰仕上げのため、直接ビスを打ち込んで固定するのは困難でした。間口に額縁の枠を設置して、その枠にパンチングボードを木ネジで固定する方法を採用。さらに枠を活用して、小物を置ける程度の棚を設置します。
厨房内の防火対策
防火性はもちろんのこと、ある程度の強度が必要です。加工のしやすさを考慮して、0.3 mm 厚のアルミ板を加工して設置します。
ビスを打ってシンクやロッカーに穴を開けるのは避けたいので、固定はブチルゴム製の両面テープと、アルミテープを使用します。
アルミ板同士のつなぎ目は、アルミテープでスムージングすれば綺麗に仕上がるでしょう。アルミ板は、床面に貼り付ける分の折り代を15 mm 設けて、曲げ加工を施します。
各パーツの加工と組み立て
必要なパーツの切り出しと加工は、現場で採寸しながら行います。設置する手順や作業性を考慮しながら、パーツの寸法や形を決めていきましょう。
組み立ては仮組みと微調整を繰り返しながら、フィットさせるようにしてください。
なお、良い仕事をするためには、最適なツールを使うことが必須条件です。中途半端な工具を使うと、作業性が悪くなるために、仕上がりにも影響を及ぼします。
完成度を確かめる
棚やカウンターを設置した場合は荷重に耐えられるか否か、扉や引き出しなどは開閉時のスムーズな動作が可能かどうかを、必ず確かめましょう。
十分な機能を発揮できていない場合は、当然のことですが手直しが必要です。
安全性をチェックする
最終的に人に怪我を負わせる危険性が無いかを確かめましょう。棚板の角が面取りされていなければ、ぶつかった時に怪我をしてしまいます。
打ち込んだビスの先端が飛び出していても同様です。出来栄えの良し悪しも大事ですが、安全性を重視した完成度を心がけてください。
まとめ
今回は店舗改装のDIYを題材に、作業の進め方についてお伝えしました。やることは違っても、考え方は普段の仕事と同じです。
三現主義で現状分析をしっかり行い、さらにPDCAのサイクルを回すだけのシンプルさを感じてもらえたら幸いです。
自慢するために仕上がりの画像を貼り付けます。まあ素人でこれくらいできりゃいいでしょ(笑)
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