着手から完成までが早いからといって、能力的に優れている訳ではありません。それは仕事の良し悪しが早さよりも質で決まるからです。
どんなに早く仕事ができても、出来上がった内容がお粗末なものでは、誰も評価してくれないでしょう。
対応にかかった時間が人並みでも、完成度が高く、相手に対する配慮や心遣いを感じる仕上がりであれば、高い評価を得られます。
よって仕事の早さを追い求めるよりも、基本に沿って質を高めることに注力しましょう。
大人の仕事は早さより質
仕事は早いに越したことはありませんが、仕上がりが悪ければただの自己満足でしかありません。
仕事の良し悪しをはかる尺度はいろいろですが、質の良さに勝るものはないでしょう。
ただし、仕事の質にこだわりすぎるあまり、完成が遅くなっては本末転倒です。
よって、納期までの時間を有効に使って、より質の高い仕上がりを目指す姿勢がベストと言えます。
慣れれば仕事は早くなる
仕事を早く片付けることに執着するのは、学生気分が抜けていない幼稚な発想です。
仕事の良し悪しを決めるのは、早さではなく中身なので、質を上げることが第一優先になります。
個人差はあるものの、時間とともに仕事は早くなります。しかし仕事の質を上げる場合はそう簡単にはいきません。
腕のいい職人は、長年の鍛錬があるからこそ、質の高い仕事を手際よくこなせるようになります。ただし、決して早さを追求している訳ではありません。
仕事の完成度を重視して習熟を高めることで、質と早さを両立しているのです。
仕事の早さは、質が上がると共に身に付くものです。中身のない早さを求めるのではなく、仕事の習熟によって質を高めることを優先しましょう。
質の高い仕事は感謝される
質の高い仕事を心掛ける人は、関係者への配慮を怠らないので、仕事に抜けや無駄などがありません。
自己満足的な仕事に走るのではなく、他人への貢献度で仕事の質を測るので、自ずと完成度が高い仕上がりになります。
質の高い仕事ができる人は、求められたことに100%応えるだけでなく、付加価値をつけるために時間を費やしています。
有益な情報や提案を提供するために努力しているので、高く評価されるのは当たり前のことです。
質の高い仕事は、基本的な完成度の高さに付加価値が備わっているからこそ、周囲から感謝される対象になるのです。
質よりスピードを重視するリスク
スピード重視で仕事をこなす人は、物事の形ができてしまえば、中身はどうあれ満足する傾向があります。
本人は満足でも、雑な仕上がりを他人がフォローしなければいけないので、周りに迷惑をかけていることに気づいて改めるべきです。
不注意で失敗を招く
スピード重視=ノリと勢いなので、緻密さが失われるため失敗のリスクが高くなります。
仕事の早さだけを追い求めると、後先を考えない行動になりがちなので、リスクヘッジが疎かになります。
スピード感に支配された結果、正常性バイアスが作用し「なんとかなる」や「自分は大丈夫」と思い込んでしまうために、危機の回避ができずに失敗してしまうのです。
人間の処理能力を超えたスピード感は、視野が狭くなるだけでなく注意力が低下するので、できるだけ避けるようにしましょう。
逆にムダが多くなる
スピードを重視すると、見切り発車で仕事を始めてしまうので、準備不足による停滞や方向転換が度々発生します。
勢いだけで突っ走り、思いつきで仕事を処理しがちになるため、ムダが多くなるのです。
トライ&エラーを何度も繰り返しているので、ムダに時間を費やすだけで仕事が早くなることはありません。
たとえ仕事の形が整ったように見えても、ふたを開ければ完成度が低く雑な内容が待ち構えています。
結局やり直しなどの不要な手間が増えるために、質を重視した仕事よりも仕上がりが遅くなってしまいます。
質よりスピードを追い求めた失敗例
仕事の質をないがしろにして失敗した事例を紹介します。やっつけ仕事ばかり続けると、とんでもない痛手が待ち構えているので、質の高い仕事を心掛けなければいけません。
髪が傷んで大クレーム
手際の良さをステータスだと思い込んでいる、ヘアスタイリストの Aさん。
お客さんからの聞き取りもそこそこに、頭皮や髪質のチェックを簡単に済ませて、カット&カラーの施術をスタートさせました。
テンポよくカットを済ませたあと、お客さんから希望の色味を聞いてカラーを開始。施術中にお客さんから違和感を告げられましたが、いつものことと軽く受け流していたのです。
シャンプー&ドライの後に仕上げをして、その日の施術もスピード重視で終わらせていました。
それから数日後、お客さんからクレームがあり、頭皮がボロボロになり髪も傷んでしまったとお叱りを受けたのです。
このケースでは、仕事の早さにこだわるあまり、デリケートな頭皮と髪質を見落としたことが原因と言えます。
カラー剤の選定でミスした上に、お客さんの感じた違和感をスルーしたために、二重のミスにつながってしまったのです。
間違いだらけで顧客の信用ガタ落ち
「分かりました、すぐやります」が口癖の B 君。スマートな営業を目指してスピード重視で業務をこなしていました。
お客さんに新しい案件を依頼されたので、情報収集しながら提案書を作成することに。
専門的な知識が必要な依頼内容なので、提案書の作成には十分なリサーチが不可欠でした。
しかし、競合他社に早さで競り勝つために、断片的な情報のみで提案書を作ってしまったのです。
意気揚々と客先でプレゼンしたのですが、相手の反応が悪いどころか、多くの資料の間違いを指摘される始末。
顧客側は十分にリサーチしていたため、手を抜いていたことがバレてしまい、信用を落とす残念な結果となりました。
仕事は小学校の徒競走ではないので、一着でゴールすることが優位性にはなりません。
提案内容の良さが採否を決めるポイントなので、期限までの時間をフルに使って、完成度の高い資料を作るべきです。
仕事の質を上げるコツとは
仕事の質を上げるのは、それほど難しいことではありません。仕事を進める段取りを決めて、負荷を減らして正確性を上げるためのアイテムを使い、基本から外れない対応を心掛けるだけです。
段取りに時間をかける
準備に時間をかけるだけで、仕事の質は格段に向上します。
時間をかけて入念に段取りをすると、抜けやモレが防げると同時に、手順に無駄がなくなるので完成までの時間が短縮されます。
まずは必要な情報やアイテムを確かめて、全て揃えてしまいしょう。次に仕事の手順を時系列で組み立てます。
手順ができたら全体の流れを確かめて、不足している情報やアイテムを補うようにします。付加価値要素についても、プラスアルファとして準備しておきましょう。
基本に沿った仕事に徹する
早さを追求すると焦りが生まれるので、基本が疎かになり仕事の質が下がります。
早さを意識するあまり、基本プロセスを端折ってしまうため、抜けや漏れが発生するからです。
また、短い時間で終わらせることが目的となるため、とりあえず仕上げることに集中してしまいます。
このような状況では、穴だらけの仕事になるのは当然です。不十分な箇所の修正に多くの時間が割かれるので、基本に沿った仕事に徹するべきなのです。
アイテムを充実させる
仕事をサポートしてくれるアイテムを使うと、それだけで仕事に質が向上します。
それは、アイテムを上手く使いこなすことが、仕事の負担が減ると同時にミスのリスクを下げる効果があるからです。
エクセルで関数やマクロを使ったり、精度の高い工具を使ったりすることは、仕事が楽になる上に失敗のリスクも下げてくれます。
仕事の内容にマッチした良質のアイテムを使いこなして、完成度が高い結果を目指しましょう。
まとめ
早さを競うことは世の中に数多くありますが、仕事ではそれほど重要なファクターではありません。
むしろ質の高い仕事ができるか否かが、最も重要視される基準です。
仕事の早さは自分特有の個性と言えませんが、仕事の質は能力と個性を存分に表現できます。
また、早さは時間とともに身に付きますが、質の高い仕事は思考を駆使しなければ身に付きません。
仕事の質が低い人ほど早さを売りにする傾向がありますが、底が浅いので評価されるのは最初だけです。
中身が充実しているほど永く評価され、厚い信頼を得られるので、質の高い仕事に徹する姿勢が肝要です。
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