仕事の教え方

仕事術

担当業務の変更や職場の異動、退職などによって仕事は第三者に引き継がれます。

これは誰にでも起こり得る事態ですが、仕事の教え方が悪いがために、後任者が苦労するケースが後を絶ちません。

昨今は仕事の教え方が下手なだけでなく、十分な指導すらできない人が多く見られます。

教える力の衰退は、組織や企業だけでなく社会全体の質の低下をもたらすため、正しく仕事を教える術を身に付けましょう。

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仕事の良し悪しは教え方次第

教える側の力量が教わる側の理解度を左右するために、教え方ひとつで仕事の結果が大きく変わります。

よって、教わる側が理解し易い仕組みを作り、相手の素養に合った教育を実施するのが指導者の責務なのです。

また、指導者自身がレベルアップできなければ、より良い教育は実現しません。

自分に都合の良い教え方ではなく、相手の立場に立った教え方に徹するように心掛けましょう。

真剣に仕事を教えると相手も自分も育つ

正しく伝えようとする努力は、教わる側を育てると同時に、教える側も自分の力で成長しています。

仕事を教えるには、ただ闇雲に指導すればいいわけではありません。


①教え方をプランニング
②事前の準備を十分に行う
③教わる側の理解度に応じた教え方にアレンジする


基本的には上記の内容を意識して指導します。これによって教えた内容も十分に伝わるようになり、教える側のスキルも向上するのです。

この教え方を意識することで、教える内容がブレイクダウンされるので、素人でも分かりやすくなる上に作業分析の能力も培われます。

一方的に指導するのではなく、教わる側からの疑問や質問を教え方に反映すれば、より分かりやすい指導になります。

相手ときちんと向き合って教えることは、双方が同時に育つ効果が得られるというわけです。

相手ができないのは教え方が悪いから

教えた通りに仕事ができないのは、教わる側の能力の問題ではなく、教え方が下手だからなのです。

相手がきちんとできるようになるまで面倒を見るのは、教える側の義務であり、教え方を変えて理解させる責任があるのです。

教え方が下手な人ほど、聞く側の理解度を考えず口頭だけで説明してしまいます。メモを取っていたとしても、書き漏れなどが多くなるため正しく伝わりません。

説明の時系列が行ったり来たりして、つながりが不明確になることも多々あるので、仕事の流れ自体もまともに教えられないケースがあります。

自分本位の教え方では、相手が誤って理解しても仕方ないのです。教わる側の不出来に立腹せず、教え方の悪さを反省するべきでしょう。

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正しい教え方が良い人材を育てる

一般的な社会人であれば、誰でも一度は仕事を教わっているはずです。しかし、正しい教え方による指導でなければ、教わる側の理解度や納得性は向上しません。

時代錯誤な根性論や上から目線での指導では、教わる側のパフォーマンスを十分に引き出せない結果となります。よって貴重な人材の可能性を引き出すために、正しい教え方が必要なのです。

根性論で人は育たない

高度経済成長期であれば、人が職場の事情に合わせる時代だったので、根性論もまかり通っていましたが現在では通用しない常識です。

労働人口に占める若年層の割合が減少しているため、希少な人材を育て上げられなければ、企業としての永続性は保てないでしょう。

「仕事は見て覚えるもの」や「一を聞いて十を知る」といった考えでは、教わる側が萎縮する環境になります。

萎縮は人材育成の障壁となるため、たとえ成長できたとしてもそのスピードは遅く、失敗を恐れてチャレンジできない人材を作り上げてしまいます。

根性論とは教える側の都合を優先した理論であって、優位性を悪用して正しく教えることから逃げるための言い訳でしかありません。

人員不足も人材不足も解消できない無用のものなので、時代遅れの考えは捨てるべきです。

正しい教え方は腑に落ちる

教えるための準備が整っている教育は、納得性が高くなるので覚えやすいだけでなく、忘れにくくなる効果をもたらします。

時系列に沿って教えているため、仕事の流れがつかみやすく、噛み砕いた内容で説明するので、マクロとミクロの視点から理解できるようになるからです。

しかし、人は慣れている仕事をしている場合、ともすると専門用語を多用したり、要約して話したりする癖があるため、理解しやすい教え方から外れがちになります。

教える側の自己満足で仕事を教えると、伝えたい内容を十分理解してもらえません。

教わる側の視点に立って教える内容を組み立てなければ、伝わりやすく腑に落ちる教育にはならないのです。

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教え方が下手だとどうなるか

たとえ一生懸命仕事を教えたとしても、相手が理解できなければムダな指導に終わってしまいます。

「何で理解できないんだ!」と腹を立てても仕方がありません。それは指導する側のエゴであって、教え方が下手だから伝わらないのです。

説明が下手な人は、物事の本質を理解していないケースが多く、目的や着地点だけでなく必要性を意識した伝え方ができていません。

また、人は自分が理解できている物事について、説明を端折る傾向があるので改善すべきです。

自分の不出来を省みて、正しい教え方を身に付けるようにしましょう。

教わる側が意欲を喪失する

教え方が下手な人の説明は、理解に苦しむケースが多く、聞き取る側にストレスが生じるため教わる意欲を失ってしまいます。

回りくどくて要点が不明瞭な伝え方では、説明の途中から理解できなくなるのは当然で、意欲を失ってしまうのは無理もありません。

分かりにくい説明になるのは、話が脱線したり着地点を見失って迷走するのが原因です。

教えるためのストーリーが定まっていないために、説明している本人が混乱に陥っているためなのです。

成り行き任せの場当たり的な教育では、良い教え方はできません。

教わる側の能力が高いほど、教える側の準備不足を見抜いた時点で聞く価値がないと判断し、事務的な受け答えに切り替えてしまいます。

誤解を招き正しく伝わらない

教えたい内容を十分に伝え切れなかったり、違う意味で理解されたりするのは、説明責任を果たしていないからです。

相手の素養を確かめずに、自分で想定したレベルを基準に説明を展開するため、理解に必要なポイントを飛ばしてしまうので、説明不足に陥ってしまうのです。

道案内する際、目印のセブンイレブンを「セブン」と伝えても、年齢層によっては「セブン」という名前の店があると誤解する場合もあります。

説明する相手の素養とは関係なく、全くの素人でも理解できる内容で伝えないと、誤解を招いて正しく伝えられなくなります。

相手が知っている内容だとしても、改めて確かめる意味で説明するぐらいの教え方が必要です。

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上手な仕事の教え方とは

仕事の教え方も仕事の本質と同様に不変なものです。仕事の良し悪しが段取りによって決まるのと同様、仕事の教え方も準備と仕組み作りが良否を左右します。

ここからは仕事の教え方について詳しく説明します。

連合艦隊司令長官である山本五十六氏の名言「やって見せ、言って聞かせてさせてみて、ほめてやらねば人は動かじ」に通ずる、エバーグリーンな手法です。

教えるための資料を準備する

教える前の準備として、自分の頭の中を整理するためにも、説明用の資料を作成するべきです。

各々のステップのつながりや、時系列が把握できるような構成にすれば、マニュアルとして活用できる効果もあります。

まずはステップごとに作業の名前を付けます。命名した各々の作業に対して、5 W 1H形式で何をどのようにするのか、必要なポイントやアイテムは何かを明確に書き出します。

作り終わったら全体を見直して、つながりや表現が適切かを判断し修正を加えましょう。

一通りの流れをやりながら教える

資料作りで整理した教え方をもとに、仕事の流れを口頭で一通り教えることから始めましょう。これは学習の「聞く」に該当します。

この時点では、覚えることより全体の流れを何となく感じ取ってもらい、イメージを持たせるだけにしましょう。

ポイントや背景などを説明すると、相手が困惑するだけなので、あくまでもさらっと流れを教えるだけにします。

次のステップで理解を深めるための布石なので、全体像を伝えることに徹してください。

資料をもとに時系列で説明する

準備した資料を使い、ステップごとに順を追って具体的な内容を教えましょう。これは学習の「見る」と「書く」に該当します。

全体像のイメージを持たせた状態で、より詳しく同じことを説明するので、覚える側の負担が軽くなり理解しやすくなるのです。

詳細が書かれた資料をもとに、最初の説明と同じ流れでポイントやアイテム、前後のつながりや背景を詳しく教えて理解度を向上させましょう。

なお、忘れにくくするためにも、覚え書きとして資料に自分でメモさせるようにしてください。

教えた通りにできるか確かめる

やって見せて言って聞かせた後の理解度を確かめるために、教えた通りの内容ができるかやらせてみます。ここでは学習の「話す」を活用します。

これは、教わる側の理解不足やつまずきをフォローするためのもので、相手の素養を見極めて教え方をアレンジする目的で行ってください。

ステップごとに、一通りの流れを説明させながら実行させます。間違っていても途中で止めずに、フォローは最後にまとめて行うようにしましょう。

トライとフォローを数回繰り返せば、ほとんどの場合は教えた通りにできるようになります。間違った場合はすぐに答えを出さず、考えさせて理解力の向上に努めましょう。

まとめ

仕事の教え方の良否は、当事者同士の引き継ぎの成否だけでなく、組織や企業のパフォーマンスにも影響を与えます。

一方で、仕事の属人化を防ぎ、教える側も成長させる人材育成とって欠かせない要素とも言えるでしょう。

仕事ができる人は自分本位で物事を進めません。教え上手な人ほど相手の立場に立った指導をし、教え下手な人ほど自己満足的な指導に終始します。

仕事の教え方の良し悪しで教える側の能力が評価されるので、正しい仕事の教え方ができる様になれば、一目置かれる存在になるでしょう。

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